1章だけ大賞
結果発表
編集E

イラスト/RUMINZ

編集Eの[エモい]1章だけ大賞

心に残る1文をさがして…。
ただエモい原稿が読みたい!
編集Eの[エモい]1章だけ大賞を開催。

結果発表
昨年に続き、全体で約300通のご応募ありがとうございました。
編集Sのスポーツ、編集Xの擬人化、編集Eのエモい。
それぞれ独断と偏見で選考した結果、全体で4作品(3名)が受賞することになりました。
受賞作品と気になった作品には、選評を掲載させていただきます。
受賞者は担当者とみらい文庫での刊行をめざすことになります。
【総評】
たくさんのご応募ありがとうございました。
スポーツ、擬人化と違い「エモい」とは主観的なものなので、シンプルにエモいと感じたかで判断しました。。
応募者の想いがにじみ出ていて熱くなったり、テキトーに書いたことが透けて見えて怒りに感じたり…。
どちらも編集冥利に尽きる瞬間でした。受賞作は2作品になりましたが、現状まだ何も成し遂げていないので、受賞された2名とはしっかり打合せを重ねて、めちゃくちゃ面白い作品が刊行できるように尽力します。
大賞
『絶対的私宣言ッ!』
春月あめ

冒頭1行目から惹きこまれる。感性をむきだしで書いているのが素晴らしい。
商業出版で、児童文庫で、どういう体裁で刊行するのか編集部が試されているような作品。
こういうのが読みたかった。どうすれば小中学生の読者に伝わるか一緒に考えたい。

期待賞
『わたしたちの恋は指先で』
安芸咲良

児童文庫の市場をよく研究されていて、題材もチャンレンジしてみたいと思った。
冒頭1頁目から惹きこまれる設定と描写で、構成にムダがない。
しっかり勉強した上で書いてほしいポイントもあるが、躊躇せず書きたいことを書いてほしい。

気になった作品
『キオクビト ~放課後の約束~』
小春りん

冒頭の3行でシンプルに設定を提示しているので、読みやすい。
1話完結のシリーズにも1冊完結のシリーズにもできそうな設定がよかった。
先生と生徒の友情ではなく、生徒と生徒の恋愛が読みたい。

『記憶ポケット』
あかまつまゆ

「アイドル」がでてくる作品は今回最も多くの応募作で扱われた題材だった。
「アイドル」設定はうまく活かせていないものの、冒頭に出てくる「手紙」は続きを読みたくなる設定。
文章は平易で読みやすいので、「手紙」を軸にした物語が読みたい。

『ミラー☆アイドルズ』
天崎るい

「アイドル」がでてくる作品は今回最も多くの応募作で扱われた題材だった。
その中で今作は「双子」という設定が、それ自体ですでにキャラ付けがあるので面白かった。
しかし、その設定を読者に提示するのが遅く、冒頭の文章構成にムダが多い。

『むすび屋』
山野綾夏

題材がみらい文庫のターゲット年齢層より上のキャラ文芸により親和性を感じる。
児童文庫でこの種の物語の刊行をめざすなら、もう少し市場の研究が必要。
書きたいことの方向性は面白いので、具体的に小中学生の読者をどこで面白がらせるかが課題。

『君と手を繋いで』
望月くらげ

冒頭から短い頁の中でドキドキさせる描写があり、これをどう回収するのかが気になる。
題材の中に少し古くささを感じたので、改善点は明確。
令和の小学生に向けた作品を志向すれば、劇的に改善される可能性は感じる。

『小学生だけど忍者修行にはげんでます』
無月兄

「忍者」という題材には強く惹かれるが、冒頭1行目でいきなり誤字脱字があるのはマイナス。
何度も推敲して、どう読まれるか震えながら待つ真摯な作家の存在を想うと1行目でミスはつらい。
「YouTube」「ラブレター」などなんとなく子供が好きそうなものを混ぜずにド直球の「忍者」ものが読みたい。

『アイドルな彼らと、ひみつの先生!』
丸井とまと

「アイドル」がでてくる作品は今回最も多くの応募作で扱われた題材だった。
冒頭5行目でいきなり誤字があるのはやはり印象はよくない。
読者の理想型主人公なのか共感型主人公なのか、その設定があいまいだった。

『あなたの悪夢、占います』
佐織えり

1冊完結型の応募作が多い中で1話完結の設定は新鮮で惹かれる。
児童文庫というよりも、読者のターゲット年齢層がもう少し下の層に向けた単行本に親和性を感じる。
主要キャラの造形が魅力的なら、続きが読みたい。

『まぼろし書房のお客さん』
工藤流優空

昨年、編集Kの1章だけ大賞に投稿された『消しバト!』も含めて、子供に向けて書きたいことがあると感じる。優しい世界観で安心して読めるところが長所であり、短所でもある。
現状の児童文庫の市場と少し違うが、視点は面白いので頑張ってほしい。

『あやかし斬りの姫と懐刀』
涼原しろ

児童文庫市場には類を見ない作品なので挑戦してみたいが、キャラが見えてこなかった。
書きたい方向性に類似作がないので魅力的なキャラが創れればよくなるが、それがいちばん難しい。
編集Kの1章だけ大賞受賞で今秋刊行の『サムライ紅炎舞』の読者からの声も参考材料になるかも。

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